「本革」と書いてはいけない — 家庭用品品質表示法と革製品の表示ルール

OEMで革製品を作るとき、意外と見落とされるのが品質表示ラベルです。家庭用品品質表示法では、かばん・靴・手袋・革衣料などに表示義務があり、素材の呼称にも標準用語が定められています。「本革」という表記が推奨されない理由、かばんの60%ルールまで、発注側が押さえるべき実務を解説します。

「本革」と書いてはいけない — 家庭用品品質表示法と革製品の表示ルール

サンプルが仕上がり、量産の直前になって「ラベルはどうしますか」と聞かれて慌てる——OEMの現場でよくある光景です。品質表示は法令に基づく義務であり、後付けで整えるとコストも納期も膨らみます。本稿では、発注側が企画段階で知っておくべき表示ルールを整理します。

家庭用品品質表示法とは

家庭用品品質表示法は、消費者が製品を購入する際に品質を正しく判断できるよう、事業者に表示を義務付ける法律です。所管は消費者庁で、具体的な表示事項は品目ごとの規程(革製品の場合は雑貨工業品品質表示規程)で定められています[1]

ポイントは、これが「推奨」ではなく「義務」であることです。表示が欠けていたり、標準用語から外れた呼称を使ったりすると、指示・公表の対象になり得ます。

革製品で表示義務がある品目

天然皮革や合成皮革を使用した製品のうち、表示義務の対象として規定されているのは主に以下です[2]

  • かばん
  • 手袋
  • いす
  • 革衣料(コート、セーター、ズボン、ドレス、スカート、上衣など)

逆に言えば、財布・カードケース・ブックカバーといった小物は、これらの品目に該当しない限り法定の表示義務の対象外です。ただし義務がないことと、表示しないほうがよいことは別です。素材を明記することは、景品表示法上の優良誤認リスクを下げる意味でも有効です。

「本革」表記が推奨されない理由

販売現場では「本革使用」という表記が広く使われていますが、品質表示上は適切な用語ではありません。「本革」は消費者に誤認を与えうる曖昧な表現とされ、具体的な革の種類を表示すべきとされています[3]

つまりラベルに書くべきは「本革」ではなく、「牛革」「豚革」「羊革」「牛表革」といった、素材が特定できる呼称です。この違いは、ブランドの信頼性にも直結します。

天然皮革・合成皮革・人工皮革・再生革の区分

革に似た素材にはいくつか種類があり、それぞれ表示上の標準用語が決まっています[3]

  • 合成皮革 — 「合成皮革」と表示する
  • 人工皮革 — 「人工皮革」または「合成皮革」と表示する
  • 再生革 — 「再生革」または「合成皮革」と表示する

注意したいのは再生革です。革の繊維を粉砕して樹脂で再結着させた素材で、原料に革を含むため「革」と呼びたくなりますが、表示上は天然皮革とは明確に区別されます。コスト重視の案件で提案されることがあるため、発注側は素材名を正確に確認しておくべきです。

かばんの「60%ルール」

かばんは複数素材の組み合わせが一般的なため、素材表示に固有の基準があります。外面積の60%以上を占める素材を、その商品の素材として表示できるという考え方です[2]

これは設計判断に直結します。たとえばキャンバス地に革のパーツを合わせたトートバッグで「牛革」を前面に打ち出したい場合、革の面積比が要件を満たしているかを、デザイン確定前に検討しておく必要があります。仕様が固まってから表示要件に気づくと、設計変更か訴求変更のどちらかを迫られます。

表示事項と表示者名

革・合成皮革を使用した製品では、一般に以下の表示が求められます[4]

  • 材料の種類 — 前述の標準用語で記載
  • 取扱い上の注意 — 水濡れ、色移り、手入れ方法など
  • 表示者名および連絡先 — 住所または電話番号

ここで重要なのは、表示者は原則としてブランド側(販売者)になるという点です。OEM製造を委託していても、自社ブランドとして販売する以上、表示責任はブランドが負います。「工房が作ったものだから」という説明は成り立ちません。

OEM発注時のチェックポイント

企画段階で以下を確認しておけば、量産直前の手戻りはほぼ防げます。

  1. 作る製品が表示義務品目に該当するか(かばん・靴・手袋・いす・革衣料)
  2. 使用素材の正確な名称(牛革か、再生革か、合成皮革か)
  3. 複合素材の場合、面積比が訴求と整合するか
  4. ラベルの仕様(縫い付けタグか、下げ札か)と、その製作費・リードタイム
  5. 表示者名として記載する自社情報の確定

アイライズ工房の対応

アイライズ工房では、量産前の仕様確定時に、素材名称と表示要件の整合を一緒に確認しています。ラベル・下げ札の手配も含めてご相談いただけます。なお表示内容の最終的な適法性判断については、個別事情により結論が変わり得るため、必要に応じて消費者庁の公表資料や専門家への確認を併せてお願いしています。

OEM INQUIRY

革製品OEMのご相談はこちらから

ブランドの世界観に合わせた素材選びから、サンプル製作・量産まで伴走します。

お問い合わせ →
お問い合わせ →