革製品OEMの見積もり依頼で最も多い失敗は、「仕様書(Tech Pack)の不足」です。情報が不足すると、見積もりが「概算」で終わり、量産時に追加コストが発生する原因になります。本記事では、当工房が受領した仕様書の良い例・悪い例を分析し、ブランド側がOEM工房に伝えるべき9項目を実務テンプレで提供します。
仕様書とは何か
仕様書(Tech Pack、製品仕様書)は、ブランドがOEM工房に「こんな製品を作って欲しい」と伝えるドキュメントです。文章ではなく、図面・サイズ・素材・金具を含む技術書として作成します[1]。
必須9項目
1. 基本情報
- 品番・品名
- カラー展開・各色の数量
- サンプル試作数 & 量産数
- 希望納期
2. 寸法図(Spec Sheet)
3面図(正面・側面・上面)+ 内部構造図。寸法は mm 単位で明記。
3. 素材スペック
- 本体革:種類、なめし方法、厚み、色、メーカー指定
- 裏地:素材、色
- 裏革:必要な場合、種類・厚み
4. 金具・副資材
- ファスナー:YKKメタル4号、長さ等
- カシメ・リベット:型番、サイズ、色
- ホック・マグネット:型番
5. 縫製仕様
- 縫い種類:ミシン本縫い/サドルステッチ
- 糸:番手、色、メーカー
- ステッチ:ピッチ、距離
6. コバ・エッジ仕上げ
- 仕上げ方法:磨き/エッジペイント
- 仕上げ剤:トコノール/CMC等
- 色:本体と同色/コントラスト色
7. ブランドロゴ・装飾
- ロゴ位置、ロゴデータ(ai/eps)
- 表示方法:箔押し/型押し/焼印
8. パッケージ・タグ
- 個別包装:紙袋/不織布袋/ボックス
- ハングタグ・品質表示
- 輸送時のパレット仕様
9. 検品基準
- 許容できる傷の大きさ・色味のレンジ
- 不良判定基準(写真付きが理想)
良い仕様書の例
当工房が受領した中で「見積りがスムーズに進んだ」仕様書の特徴:
- 3面図 + 内部構造図 + 立体イメージ
- 素材を「商品名 × 厚み × 色」で具体指定
- 金具を型番で指定(YKKメタル4号、KS-1234等)
- 縫製仕様の参考写真付き
- 検品基準の写真サンプル
悪い仕様書の例
- 「茶色の本革で」だけの素材指定
- サイズが「中型」だけ
- 金具が「シルバー」だけ
- 納期が「できるだけ早く」だけ
アイライズ工房の仕様書テンプレート提供
当工房では、ブランド様向けに仕様書テンプレート(Excel/Figma両対応)を無料で提供しています。お問い合わせフォームより「仕様書テンプレート希望」とご記入ください。記入例付きでお送りいたします。
出典
- Apparel Tech Pack 業界標準ガイドラインアパレル業界の仕様書ガイド
- ZOZOテクニカルプランニング国内アパレルの仕様書実務
